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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第10章 夏の訪れ

当日、3人でトランクに荷物を詰め込む。
最初の運転は優で、後ろにわたしと春ちゃんが乗り込んだ。
車は白の小さめの乗用車。2人が共用していて、運転が苦手な春ちゃんのために、小さい車になっているらしい。

「これは要らんだろ……」

助手席にはクマのぬいぐるみ。
優は呆れて笑いながら言いつつ、クマにもシートベルトをかける。

「咲がどうしても連れていくって」

「家で1人は寂しいかと思って」

春ちゃんとわたしが口々にそう言うと、優もシートベルトをかけながら笑った。

「どうせ1晩だろ……」

そう言いながらも、優は車を発進させた。
降ろされなくて良かったとほっとする。

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