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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第10章 夏の訪れ


高速道路を降りて街を抜けると、海岸へ続く道に出た。いよいよ、窓の外には海が広がる。

「咲、海だよ」

春ちゃんが運転しながらわたしに声をかける。

「うみ……?」

見渡す限り、ずーっと青が広がって、遠くの方で空と交わっている。
水面は太陽を反射して、きらきらと輝いていた。

その光景に息を飲む。

思っていたより、ずっと遠くまで広がっている濃い青に、少しだけ怖さも感じた。離れたところにぽっかりと浮かぶ船が、迷子になったように見える。

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