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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第10章 夏の訪れ

6

通された和室は広くて、窓からは海も見えた。
眺めが良くて、窓に張り付く。

「先に、風呂入ってこよう。ご飯まで時間あるしシャワー浴びないとベタベタでしょ?」

春ちゃんがわたしに声をかけた。

「そうする」

海の家で軽くシャワーも浴びて、体は乾いたし、着替えもしていたけれど、やっぱりベタベタしてしまっていた。
お風呂の準備をする。
客室にあった浴衣を、3人で借りた。

「咲、ひとりで着れる?」

春ちゃんに訊かれて、わたしは頷いた。早乙女先生に気付けてもらった浴衣よりは簡単そうで、帯を縛るだけでよかったからだ。

大浴場へ向かう。

「じゃあ、また後で、出たらここのベンチで待ってるから」

「あんまり長湯するなよ」

春ちゃんと優がそれぞれに言う。
わたしは「はーい」と返事をして、赤い暖簾の方へ、優と春ちゃんは青い暖簾の方へ消えていった。

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