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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第10章 夏の訪れ

温泉も、初めてだった。
お風呂は信じられないくらい広くて、大きかった。既に何人かお客さんがいたが、空いている。
わたしはゆっくりと体と頭を洗うと、温泉に浸かった。
いつも入っているお風呂とは別の匂いがして、温度も高くて、身体中がポカポカと温まっていく。

「はぁ〜」

知らないうちに溜息が出ていたが、何も悪い気はしない。極楽とは、このこと。
水中で、無意識に足がパタパタとゆっくり動く。

楽しいことがあると、体が動いてしまうらしい。
これは最近気づいた、わたしの癖。

ほっとすると、今までのことが頭の中をゆっくりと動き出す。

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