優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第10章 夏の訪れ
部屋に戻ると、夕食まで時間があった。
「はー、家事からの解放。何もすることがないのも、たまにはいいねぇ」
春ちゃんは言いながら畳に転がる。
正真正銘の、働き者のセリフだった。
わたしも春ちゃんに見習って、ゴロンと横になると、春ちゃんがわたしの頭を撫でた。
くすぐったくて、気持ち良くて、また幸せが増えていく。
夕食の時間になるまで、3人でテレビを見ながらごろごろしたり、お茶を飲んだりして、今までで1番ぐうたらして過ごした。
ちょっと疲れたのと、畳の寝心地がよかったのもあって、気づいたらうたた寝していた。
優に軽く揺すられて、起こされる。
「咲、ご飯行くぞ」
はっとして起き上がると、目を擦る。
思ったより深く、長めに寝てしまっていたらしい。体にはタオルケットがかけられていた。
「海、入って遊び疲れたんだね」
春ちゃんは言いながら微笑んだ。
起き上がると、優が帯を整えてくれる。
3人で部屋を出て、夕食の会場へ向かった。