優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第11章 落し物に気づく時
「咲から言ってきてくれるの、待ってたんだけどなぁ。月一回のお約束、忘れちゃった?」
春ちゃんに後ろから声をかけられて、俯いて首を横に振った。こんなに嫌な事、忘れるわけないのに、意地悪なことを言う。数日前からこの日が来るのを憂鬱に思いながら過ごしていたのに。
優が、わたしの顔を覗き込んだ。
「咲、このまま寝せるわけにはいかない」
わたしはこのまま寝たい。
そう思って首を横に振ると、優が言葉を重ねる。
「咲が治療から逃げる。逃げたらもっとつらい。早乙女先生のところへ連れていかないといけないくらい、悪化したら。誰がいちばんつらいと思う?」
そんなの……わかってる。わたしだ。わたしがつらくならないように、いまここでしなきゃいけないことくらい、わかってる。
でも、怖いし恥ずかしいし、やりたくない。
春ちゃんに後ろから声をかけられて、俯いて首を横に振った。こんなに嫌な事、忘れるわけないのに、意地悪なことを言う。数日前からこの日が来るのを憂鬱に思いながら過ごしていたのに。
優が、わたしの顔を覗き込んだ。
「咲、このまま寝せるわけにはいかない」
わたしはこのまま寝たい。
そう思って首を横に振ると、優が言葉を重ねる。
「咲が治療から逃げる。逃げたらもっとつらい。早乙女先生のところへ連れていかないといけないくらい、悪化したら。誰がいちばんつらいと思う?」
そんなの……わかってる。わたしだ。わたしがつらくならないように、いまここでしなきゃいけないことくらい、わかってる。
でも、怖いし恥ずかしいし、やりたくない。