優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第11章 落し物に気づく時
「……やりたくない」
こんなこと言ったら怒られる。
怒られるのを覚悟で、わたしはそう言葉にした。
これはわたしの意思だ。俯いたまま、小さな声でそう口にしていた。
「一応訊くけど、なんでやりたくないの?」
春ちゃんは、わたしにそう尋ねた。『一応訊く』というフレーズに、春ちゃんの怒りが込められていた。さらに、わたしに選択権がないことを突きつけている。答えられずに足元を見つめていると、追い打ちをかけるように春ちゃんが言った。
「……じゃあ、やんなくてもいいよ。咲の体が痛くならないためにしてることだから。俺と優は、咲の治療しなかったからって、自分の体の一部が痛むことはない。治療中だって嫌がる咲を見なくて済む。咲がそんなに嫌っていうなら、今月はやらないで苦しめばいいよ」
こんなこと言ったら怒られる。
怒られるのを覚悟で、わたしはそう言葉にした。
これはわたしの意思だ。俯いたまま、小さな声でそう口にしていた。
「一応訊くけど、なんでやりたくないの?」
春ちゃんは、わたしにそう尋ねた。『一応訊く』というフレーズに、春ちゃんの怒りが込められていた。さらに、わたしに選択権がないことを突きつけている。答えられずに足元を見つめていると、追い打ちをかけるように春ちゃんが言った。
「……じゃあ、やんなくてもいいよ。咲の体が痛くならないためにしてることだから。俺と優は、咲の治療しなかったからって、自分の体の一部が痛むことはない。治療中だって嫌がる咲を見なくて済む。咲がそんなに嫌っていうなら、今月はやらないで苦しめばいいよ」