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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第11章 落し物に気づく時

「こんにちは」

ショートカットに、屈託のない笑顔。わたしに挨拶を返してくれたその子は……始業式で、わたしを助けてくれたあの子だった。

「あ、えっ!! ちょっと待っててください」

わたしは慌ててウサギ小屋から飛び出て、鍵を閉める。

「あの、一昨日は……始業式のとき。ありがとうございました」

言いながら、ぺこりと頭を下げる。
女の子も驚いたような顔をした。

「あ……! あの時の! け、敬語なんて使わないで」

わたしの顔を見て、思い出したように笑った。

「わたし、動物好きで。ずっとお世話してみたいなぁって思っていたんだけれど、なかなか言い出せないまま2学期になっちゃって。今日、井田先生の他に、お世話している子見つけたから、話しかけてみようと思って来たんだ。あなただと……思わなかった。名前、聞いてもいい?」

「うん……! 白河咲……です」

「白河さん……わたし、2年3組の角村一華」

名前を聞いてから、改めてお礼を伝えた。

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