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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第11章 落し物に気づく時

俺は、家事を一段落させて、2人分のお茶を淹れると、リビングのソファに向かい合うように座った。

「ありがとう」

言いつつ優が、本を読みながらお茶を1口啜る。
俺はマグカップを両手で包むと、なんてことないように優に声をかけた。

「ねーねー、優。咲にはお友だちと好きな人が、同時に出来たみたいだよ」

盗み聞きは大人のすることではない。大人でなくてもしてはいけない。これは重々承知。
しかし、角村さんと咲が話していることが、耳に入ってしまったのだから仕方ない。正確には、耳に入ってから聞き耳は立てたが……。

咲は気づいてないけれど、あれは。

……絶対に、恋心。

そんで多分、角村さんは咲の気持ちには気づいているんだろうなぁという印象。

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