優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第11章 落し物に気づく時
「……?! ッゲホッ……えっ? 今なんつった、お前……」
優は飲んでいたお茶を吹き出しそうになって、変なところに入ったようでむせ込む。
「こっちも、わかりやすいね。友だちと好きな人ができたみたいだよ、咲に」
言いながら笑うと、優が俺のことを睨む。
今日、咲が俺のことを『鬼の形相』と言い、それを俺に聞かれていた咲の焦り方に少し似ている。
「変なタイミングで……そういうことを言うな」
普段あんまり動揺しない優も、これには相当驚いたのだろう。
呼吸を整えて、もう一口お茶を口にしてから、改めて俺に訊いてきた。
ーーもちろん、ハードルの低い方から。