優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第11章 落し物に気づく時
「友だちは?」
「角村一華さん。優、知ってるでしょ?」
その名前を聞いて、ふっと微笑む。
「あぁ、よく知ってる。……確かに、咲とは相性良さそうだな。学校では変わりなさそうか?」
言いながら、優は一瞬小児科医の顔になる。
「うん。放課後見てる感じ、大丈夫そうだよ」
「それならよかった」
優はそれを聞いて、ほっとして気が抜けたようだった。
もう話が終わったみたいな雰囲気を出されてしまい、少し不満に思う。びっくり箱をつつくように、俺は再び話を振った。
この話をした時点で、この話題から優のことを逃がすはずなどさらさらない。
「で、気になるよね? 好きな人」