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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第11章 落し物に気づく時

鍵がなくても、家に帰ることはできる。
春ちゃんから、鍵を借りて家に帰れば良い話ではある。
問題は、そのことを告げたら、春ちゃんに絶対に良い顔はされないということ。
そりゃそうだ……鍵失してるんだもの。それは絶対に回避できない。
諦めて、正直に春ちゃんに言うしかないかな。
言ったら……怒るかなぁ。怒るよなぁ。

『落としたり失くしたりしないこと』

3人で暮らし始めたばっかりの時に、春ちゃんが鍵を渡しながらわたしに言ったことを思い出す。
わたしは密かに覚悟を決めて、中庭に出た。

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