優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第11章 落し物に気づく時
思わぬ人の名前が、春ちゃんの口から飛び出て、さらに目を見開く。
名前を聞いた瞬間に、胸が……心臓が1度だけ、痛いくらい強く跳ねたのがわかった。
……また、お世話になってしまったと、なんとも言えない気持ちが、大きな波のように胸に迫ってきた。
「白河さんのポケットから落っこちるの見たけど、急いでて渡せなかったんだって。後から僕に渡してきたよ」
直接、渡してもらえたら……あの時のお礼も言えたかもしれないと考える。
でも、話かけてもらったところで……
わたしは、樫木くんの綺麗な瞳を思い出して、身が縮むような気持ちになる。
……始業式のお礼は、きっと伝えられなかった、とも思う。
「ありがとうございます……」
恐る恐る、手を伸ばして受け取る。
それは紛れもなく、わたしの鍵で。心の底からほっとしている自分がいた。
しかし、ほっとするのも束の間。
名前を聞いた瞬間に、胸が……心臓が1度だけ、痛いくらい強く跳ねたのがわかった。
……また、お世話になってしまったと、なんとも言えない気持ちが、大きな波のように胸に迫ってきた。
「白河さんのポケットから落っこちるの見たけど、急いでて渡せなかったんだって。後から僕に渡してきたよ」
直接、渡してもらえたら……あの時のお礼も言えたかもしれないと考える。
でも、話かけてもらったところで……
わたしは、樫木くんの綺麗な瞳を思い出して、身が縮むような気持ちになる。
……始業式のお礼は、きっと伝えられなかった、とも思う。
「ありがとうございます……」
恐る恐る、手を伸ばして受け取る。
それは紛れもなく、わたしの鍵で。心の底からほっとしている自分がいた。
しかし、ほっとするのも束の間。