
優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第12章 ふたりの憧れ
「ちょっとごめんな」
言いながらパジャマの前のボタンを外すと、わたしの脇に体温計を挟ませて、胸元を露わにする。熱があると自覚すると、恥ずかしさを感じる余裕もないくらいに頭がぼーっとしていた。
物音に気づいて、それまで寝ていた春ちゃんも目を覚ます。
「ん? おはよ、どうした……?」
春ちゃんは体を起こしながら、聴診する優に尋ねた。その光景にすぐに状況を理解したらしい。
体温計がピピッと音を出す。
優が確認しながら読み上げた。
「咲、熱がある。7度8分」
「……氷枕持ってくるわ」
そう言って、春ちゃんは部屋を出ていく。
優と2人になった空間で、診察は続けられる。
「口開けて」
意識がぼんやりとしてしまい、口を開けているつもりが全く開いていなかったらしい。
「咲、あーんだよ、あーん」
いつもより優しい口調になった優に、小児科医の澤北先生が久しぶりに表れていた。
言いながらパジャマの前のボタンを外すと、わたしの脇に体温計を挟ませて、胸元を露わにする。熱があると自覚すると、恥ずかしさを感じる余裕もないくらいに頭がぼーっとしていた。
物音に気づいて、それまで寝ていた春ちゃんも目を覚ます。
「ん? おはよ、どうした……?」
春ちゃんは体を起こしながら、聴診する優に尋ねた。その光景にすぐに状況を理解したらしい。
体温計がピピッと音を出す。
優が確認しながら読み上げた。
「咲、熱がある。7度8分」
「……氷枕持ってくるわ」
そう言って、春ちゃんは部屋を出ていく。
優と2人になった空間で、診察は続けられる。
「口開けて」
意識がぼんやりとしてしまい、口を開けているつもりが全く開いていなかったらしい。
「咲、あーんだよ、あーん」
いつもより優しい口調になった優に、小児科医の澤北先生が久しぶりに表れていた。
