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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第12章 ふたりの憧れ

ベッドでうずくまっていると、コンコンとドアをたたく音が聞こえて、はっとする。
入ってきたのは春ちゃんだった。

「咲、目、覚ましたね」

ベッドの横にしゃがみこむと、わたしの顔を覗き込む。お腹を抱えて痛みに顔を歪めるわたしを見て、

「あー……生理も来たか……」

と、眉間にシワを寄せる。わたしの脇に体温計を挟むと、横になって丸まった背中を、ゆっくりと撫でた。

「風邪と生理のバッティング……。これはしんどいねぇ……。よしよし、飲めそうだったら痛み止めも持ってくるか」

春ちゃんが独り言のように呟く。
電子音が鳴り響いて、脇から体温計が抜かれた。

「うーん……8度6分……ちょっと優呼んでくるね」

体温計を持った春ちゃんの後ろ姿が、リビングへと消えていく。

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