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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第12章 ふたりの憧れ

「はい、咲、ちょっと飲んでみて」

春ちゃんによって、口元に運ばれたストローを咥えて、吸い込む。
口の中で甘みがじわじわと広がる。体の中がからからで、喉が乾いて水分を欲していた。

……おいしい。

と、思ったのも束の間。吸い込んだものを飲み込んだ途端に、地獄は始まる。

「っ、えっ、ゲホッ、うぅ……」

突然、胃袋がひっくり返るような気持ち悪さに襲われる。

「春斗、咲、吐くぞ」

「わー、おっけーおっけー」

準備よく用意された洗面器が口元にあてがわれて、飲んだものが全て口から出ていった。
ここまで想定済みだったらしい。

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