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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第12章 ふたりの憧れ

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「咲、もう少し背中丸めようか」

春ちゃんに手を握られ、頭を撫でられているうちに、安心しきっていた。言われた通りに、背中をぎゅっと丸める。
そうすると、腹痛も少しはマシになる。

優が、わたしの背後へまわると、手袋を付け始めた。

ん……? なんで後ろ……?

嫌な予感に、顔を後ろへ向けようとしたが、春ちゃんに手を揺らされて、にっこり笑いかけられる。

「咲、こっち見てて。大丈夫だからね」

気づけば春ちゃんに、両手をしっかり握られていた。
安心させるための両手というより、これは……。

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