
優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第12章 ふたりの憧れ
お弁当を半分くらいまで食べ進めた時、いっちゃんの後ろにあった、教室のドアが開いた。
ドアの音に顔を上げると、入ってきた子と目が合う。
「……!!」
すらっと伸びた身長、柔らかい髪の毛、茶色の透き通るような目。
驚いて、目を見開く。突然のことに息が止まった。
……しまった、と咄嗟に思う。
いっちゃんのクラス、それはすなわち、樫木くんが居るということを、すっかり今の今まで、忘れてしまっていた。
いっちゃんが、わたしの顔を見て、一瞬だけ笑うと、お弁当に目を戻した。
「あ」
最初に、小さく低い声を上げたのは、樫木くんの方だった。
横顔だったその顔が、完全にわたしの方に向く。
持っていた箸が、手から滑り落ちて、床に転がった。
「あばばっ…………」
変な声が出て、いっちゃんと樫木くんが同時に頬を緩めるのが見えた。
わたしの頬は赤くなる。
ドアの音に顔を上げると、入ってきた子と目が合う。
「……!!」
すらっと伸びた身長、柔らかい髪の毛、茶色の透き通るような目。
驚いて、目を見開く。突然のことに息が止まった。
……しまった、と咄嗟に思う。
いっちゃんのクラス、それはすなわち、樫木くんが居るということを、すっかり今の今まで、忘れてしまっていた。
いっちゃんが、わたしの顔を見て、一瞬だけ笑うと、お弁当に目を戻した。
「あ」
最初に、小さく低い声を上げたのは、樫木くんの方だった。
横顔だったその顔が、完全にわたしの方に向く。
持っていた箸が、手から滑り落ちて、床に転がった。
「あばばっ…………」
変な声が出て、いっちゃんと樫木くんが同時に頬を緩めるのが見えた。
わたしの頬は赤くなる。
