
優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第12章 ふたりの憧れ
気持ちが緩んで、そのまま弁当を食べようとしてしまう。
……わたしはすっかりと、箸を落としたことを忘れていた。
「待って……!」
いっちゃんが言う。
間に合わず、お弁当に箸がつきそうになったところ、わたしの手首を、樫木くんの手が掴んだ。
熱が、触れられた手首から、ゆっくりと広がっていく。
「箸……洗わないと」
あんまりにもはっきりした感触に、心臓が止まりそうになった。驚いて、樫木くんの顔を見る。樫木くんも、反射でわたしの手を掴んでしまったらしい。
……茶色の透き通った瞳が揺らいでいた。
樫木くんは、わたしの動揺する姿と、思わず掴んでしまった手首に、一拍遅れて気づく。
……わたしはすっかりと、箸を落としたことを忘れていた。
「待って……!」
いっちゃんが言う。
間に合わず、お弁当に箸がつきそうになったところ、わたしの手首を、樫木くんの手が掴んだ。
熱が、触れられた手首から、ゆっくりと広がっていく。
「箸……洗わないと」
あんまりにもはっきりした感触に、心臓が止まりそうになった。驚いて、樫木くんの顔を見る。樫木くんも、反射でわたしの手を掴んでしまったらしい。
……茶色の透き通った瞳が揺らいでいた。
樫木くんは、わたしの動揺する姿と、思わず掴んでしまった手首に、一拍遅れて気づく。
