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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第13章 定期検診のお知らせ

もう1つの理由は……わたしが好きな服を選んで、増やせるように、だそうだ。

明日、日曜日は、いっちゃんと2人で買い物に出かける約束をした。家からバスで30分の、大型ショッピングモール。

「冬用のコートは後で新調するからさ、明日、買い物するとき、自分の着たい服とか、いっちゃんと選んで来なよ。女の子2人の方が、そういうのときめくだろうし」

もう充分に趣味の良いクローゼットを眺めていると、春ちゃんがそう言った。

春ちゃんも、家では『いっちゃん』と呼ぶ。それが、春ちゃんと井田先生の棲み分けのようだった。

「どんなの見てきたらいいの?」

服なんて選んだことがなかったので、春ちゃんに聞いてみる。

「うーん、そうだなぁ……秋が来たと思ったらすぐ冬になるから、一足先にセーターとか、冬用のズボンかスカートってところかなぁ。上下1着ずつ、予算は5000円。お昼代込みで6000円渡すね」

言いながら、春ちゃんがポケットを探り、わたしに小さな包みを渡してくる。お金が包まれているらしい。

「そんなにいいよ……! この間、お小遣いで優から3000円もらったの、明日使おうと思ってたし」

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