テキストサイズ

優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第13章 定期検診のお知らせ

2

日曜日、家を出る前に、優と春ちゃんが見送りに玄関に来る。
いつも学校へ行く時は、先に春ちゃんを見送ったり、休みの優に見送られたり、家を出る時間は3人でバラバラだ。
……だから、2人が玄関先でわたしのことを見送るのは、これが初めてだった。
休日、まだスウェットのままのふたりを目の前に、出かける準備をするのは新鮮だった。

友だちとお出かけなんて初めてで、わくわくしている。

「気をつけて行ってらっしゃいね」

春ちゃんがわたしの目の高さにしゃがんで言う。

「はーい」

返事をするわたしの頭をぽんぽんと撫でてから立ち上がった。

「咲、バスの乗り方、大丈夫か?」

優が、春ちゃんの後ろから声をかける。

「……うん、まぁなんとなく。でも大丈夫だよ、いっちゃんいるし」

「まぁ、それもそうか」

優も春ちゃんも、そしてわたしも、いっちゃんへの信頼は厚い。
多分、今日のお出かけもいっちゃんとでなかったら、もう少し心配されていたような気もする。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ