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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第13章 定期検診のお知らせ

「おかえり」

リビングのソファで、優が読んでいた本から顔を上げた。

「ただいま」

ゆるゆると緩んでいく頬を、引き締めることができなかった。

「なんだ?」

首を傾げる優に、春ちゃんが言った。

「咲が初めて自分で本を買ってきたよ」

「へぇ、何の本?」

優は、本が好きだ。
暇があれば医学書の類を読んでいるんだと思ったら、どうやらそうではないらしい。もちろん、医学書の時もあるけれど、小説とか新書とか漫画とか、カバーをかけているからわからないだけで、とにかく何か1冊は、優の本がリビングのローテーブルに置いてある。

例に漏れず、興味を持った優が、ゆっくりとわたしに近づいてくる。
わたしは優を見上げるようにしてこたえた。

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