優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第13章 定期検診のお知らせ
「……検診行きたくないんだよね、わかるよ」
ベッドサイドにしゃがみこむ。布団を被っていて見えないはずなのに、わたしの頭の位置をしっかりと把握していて、ぽんぽんと手のひらを置く。
説教モードではないことに安心しつつも、油断はできない。身を固くしながら、春ちゃんの出方を伺っていた。
「俺だって、腐っても小児科医だった時代があるからね。予防接種なんてもう、ガン泣きしてる子に注射打つんだよ、優しくしても嫌われるの確定なんだもん。俺の方が泣けてくる。だからね、ご褒美あげてた。飴とかシールとか」
おどけた口調ではあったけれど、春ちゃんが、自分から医師だった頃の話をしてくることはあまりなかった。珍しく思って耳を傾けていたが、小さい子と同じ扱いをされるのが少し癪で、唇を尖らせる。
「……飴とシールじゃ釣られないよ、わたし中学生だもん」
寝返りを打つように、春ちゃんに背を向けようとすると、その肩をしっかり掴まれた。
「……?!」
身動きが取れなくなって驚いていると、その隙に春ちゃんが言葉を詰め込む。
ベッドサイドにしゃがみこむ。布団を被っていて見えないはずなのに、わたしの頭の位置をしっかりと把握していて、ぽんぽんと手のひらを置く。
説教モードではないことに安心しつつも、油断はできない。身を固くしながら、春ちゃんの出方を伺っていた。
「俺だって、腐っても小児科医だった時代があるからね。予防接種なんてもう、ガン泣きしてる子に注射打つんだよ、優しくしても嫌われるの確定なんだもん。俺の方が泣けてくる。だからね、ご褒美あげてた。飴とかシールとか」
おどけた口調ではあったけれど、春ちゃんが、自分から医師だった頃の話をしてくることはあまりなかった。珍しく思って耳を傾けていたが、小さい子と同じ扱いをされるのが少し癪で、唇を尖らせる。
「……飴とシールじゃ釣られないよ、わたし中学生だもん」
寝返りを打つように、春ちゃんに背を向けようとすると、その肩をしっかり掴まれた。
「……?!」
身動きが取れなくなって驚いていると、その隙に春ちゃんが言葉を詰め込む。