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｢本だったらどう？ 咲の、好きな本｣

好きな本……。そう言われてすぐに、欲しいと思った本が思い浮かぶ。

｢あの図鑑、シリーズだったよね。検診終わったら、買いに行かない？｣

そしてその本は、春ちゃんにもバレている。

この間買った図鑑は、四季で1冊ずつの本になっている。今は秋だから、『秋』を買った。次は『冬』が欲しいと思っていた。なるべく早く揃えたいと思っていただけに、魅力的な提案ではある。

布団から、そっと顔を覗かせると、春ちゃんがにっこりと笑った。

｢頑張ってくれない？ ここで行けなくて、早乙女先生に怒られるよりさ。病院行って体の状態わかって、新しい本買って帰られる方がお得じゃない？｣