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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第14章 文化祭

「文化祭……君たちには少し頑張って欲しいんだ」

改まった調子で、そう言った井田先生を前に、わたし達は顔を見合わせて背を伸ばす。

それは放課後、もうすぐ活動を終えようと3人で昇降口にいた時だった。
体操着の長袖で畑に出るには少し寒い時期になってきていて、畑仕事もそろそろオフシーズンに入ると言う。

傾いた夕日が、3人の影を長く伸ばす。
グラウンドには、運動部の声が響いていた。

ぼちぼちと帰る生徒が出てきた中で、井田先生はゆっくりとわたしたちに向き合って話し出した。

「庭で採れたさつまいもを使った、新メニューの提案、作成、販売を行うことで同好会としての実績を残してほしいんだ」

表向き、同好会になっているらしい。

「販売……?」

いっちゃんが少し不安そうに呟く。井田先生はなんてこと無いように笑いながら、話を続けた。

「そう。来年度から、活動費を学校からもらえるようにすることを目標にするの。もちろん、文化祭での売り上げも活動費になるわけだから、バカにできないよ」

少しの間、沈黙が訪れる。わたしといっちゃんは、それぞれに、井田先生の言葉を噛み砕いて消化しようとしていた。

つまり、今回の文化祭は、わたしたちは自分たちで何かを作って販売する。それが活動費になるってことか。

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