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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第14章 文化祭

「「えっ?!?!」」

やっと声を出したわたし達に、樫木くんがぎこちなく言った。

「なんか……悪かった?」

「何も悪くないよ!! よろしく!!」

いっちゃんは適応力がある。ブンブンと首を横に振ると、もうすでに満面の笑みを浮かべていた。
早々に、樫木くんのもとへ近寄ると、話し始める。

わたしはというと、固まったまま、その場で動けずにいる。
戸惑い、喜び、恥ずかしさ……色んな気持ちがごちゃ混ぜになって、何を言葉にしていいのかわからなかった。ただ、どうしてと。疑問だけが浮かんでくる。

思わぬ爆弾を投げ込んでおいて、井田先生はその場をさっさと後にする。

「じゃ、僕は溜まった仕事片付けるから、あとは3人で。いいかい? つくったもので失敗したものは絶対口に入れないこと、返事!」


「はい」

「…………はい」

いっちゃん。それから、ワンテンポもツーテンポも遅れて、わたしの返事。
樫木くんは井田先生の顔を見て、コクッと頷くだけだった。

「うん、よろしい。由貴、2人のことよろしくね。いっちゃんもさっちゃんも、無理しないこと。それじゃ、また。日が暮れるの早いから、気をつけて帰りなね」

井田先生が樫木くんを下の名前で呼んだことが少し気になったが、いまはそれどころじゃない。

先生がいなくなったあと、静かになった教室で、いっちゃんが樫木くんにあれこれと気になることを聞き出す。

「どうして、手伝ってくれることになったの?」

まずはこれだ。どうして樫木くんなのか。わたしはドギマギしながらその問いに耳を傾ける。
身を乗り出すように尋ねるいっちゃんに、困ったように笑いながら、樫木くんは頭を搔く。

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