優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第15章 文化祭(後編)
5
いつかの屋上に、今度はいっちゃんと2人でいた。
優から正式に許可がおりて、点滴も外れたいっちゃんが厚手のコートを羽織って、屋上にいた。
「優先生、厳しいんだもの〜、やっと自由になれたよ」
大きく伸びをするいっちゃんに笑いかける。
優の厳しさはよく知っているから、2人でこっそりと愚痴をこぼす。
「治療のことになると厳しいよね」
「あ、やっぱりそうなんだ」
「まぁ、家では春ちゃんの方が怖いけどね」
あ、また春ちゃんって言ってしまった。そう思ったらすぐに、いっちゃんがくすくす笑った。
「……ねぇ、さっちゃん」
「ん?」
「春ちゃんって、もしかして、井田先生?」
思わず言い当てられて、慌てだしたわたしに、いっちゃんはさらに笑う。
「わ!えっ……なんで」
「なんとなく。井田先生が、優先生の親友だって話は聞いてて、さっちゃんが優先生と暮らしてるなら、もしかしたら井田先生とも暮らしてるのかなって。……そっか、井田先生、家だとママなんだね」
「いっちゃん、井田先生には絶対言わないで!!」
「わかってるよ、秘密ね」
「うん……ほんとに厳しいの。寝ないとすぐ怒るし、ご飯は残すなって言うし……たまに愚痴聞いて欲しい」
「お易い御用」
ひとしきり2人で笑ったあとに、いっちゃんが切り出した。
いつかの屋上に、今度はいっちゃんと2人でいた。
優から正式に許可がおりて、点滴も外れたいっちゃんが厚手のコートを羽織って、屋上にいた。
「優先生、厳しいんだもの〜、やっと自由になれたよ」
大きく伸びをするいっちゃんに笑いかける。
優の厳しさはよく知っているから、2人でこっそりと愚痴をこぼす。
「治療のことになると厳しいよね」
「あ、やっぱりそうなんだ」
「まぁ、家では春ちゃんの方が怖いけどね」
あ、また春ちゃんって言ってしまった。そう思ったらすぐに、いっちゃんがくすくす笑った。
「……ねぇ、さっちゃん」
「ん?」
「春ちゃんって、もしかして、井田先生?」
思わず言い当てられて、慌てだしたわたしに、いっちゃんはさらに笑う。
「わ!えっ……なんで」
「なんとなく。井田先生が、優先生の親友だって話は聞いてて、さっちゃんが優先生と暮らしてるなら、もしかしたら井田先生とも暮らしてるのかなって。……そっか、井田先生、家だとママなんだね」
「いっちゃん、井田先生には絶対言わないで!!」
「わかってるよ、秘密ね」
「うん……ほんとに厳しいの。寝ないとすぐ怒るし、ご飯は残すなって言うし……たまに愚痴聞いて欲しい」
「お易い御用」
ひとしきり2人で笑ったあとに、いっちゃんが切り出した。