優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第16章 3人の年越し
ひとり、腹を抱えて笑っていると、今日1日が、どうでもいいことのように思えた。
そうしてようやく、さっきの優の慰めが、心の素直なところに落ちていったのだった。
「ごめん、ありがとう、優。……咲、まだ起きてるかな?」
「眠れなくて困ってるんじゃないか? 起きてたら連れて来い」
「わかった」
「……明日、治療だから、お前ら不仲なままだったらどうしようかと思ったよ」
「……あー、明日か。早いなぁ1ヶ月は」
憂鬱が、心に影を落とす。
咲を押さえつけて、とにかく膣からの分泌物を促すあの治療は、咲にとって快感を伴うからこそつらかった。
「ちょっと行ってくる」
寝てるといいな、と思う気持ちが半分と、起きて少し話せたらいいなと思う気持ちも半分。
複雑な心境のまま扉をノックしたら、部屋の中に思いの外小さくノックの音が響いた。
「……咲? 入るよ」
しかし入った瞬間、すぐにもう一度扉を閉めて、優のところへと急ぐ事態となる。