優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第16章 3人の年越し
7
緊張しながら診察室に入ると、早乙女先生が笑顔でわたしを出迎えた。
「1ヶ月でここに来るなんてって、思った?」
早乙女先生は、内心をピシャリと言い当てる。
わたしは苦笑いしながら頷いた。
優が予約をしたから、多分だいたいのことは優を通して知っているだろう。
それもあって、恥ずかしくなって俯いた。
早乙女先生は、カルテを広げながら、わたしにいくつか質問を投げかける。
「今回の生理痛はどうだった?」
「……少しだけ」
「薬飲んだら収まったかな?」
「はい」
ペンを走らせながら、早乙女先生は穏やかに質問を続ける。
「ひとりで触ったのは、生理の2日前の夜だね」
「……はい」
「自分でいけた?」
優と同じことをきかれ、おずおずと無言で頷いた。顔が赤くなって、先生の顔を正面から見られない。
そんなわたしを見て、早乙女先生はふっと笑顔を漏らす。
「恥ずかしいかもしれないけれど、とっても大事なことだよ。じゃあ、まずエコーで診てみようか」
「……はい」
ベッドに横になると洋服を捲られる。
早乙女先生は機械にジェルをつけると、お腹の様子を隅々まで診ていく。
前回は、優も春ちゃんもいたけれど、今回は早乙女先生と2人きり。緊張してまばたきを繰り返すと、早乙女先生はわたしに声をかけた。
「大丈夫、リラックスしてくれる?」
深呼吸を何度かすると、エコーが終わった。
何枚か写真を残して、早乙女先生はわたしに、
「もう大丈夫だよ」
と言った。
「血塊、今日はなさそうだから、処置はなし。澤北と井田も来てるんでしょう? わたしから説明するから、ここへ呼ぶね」
処置なし……ってことは、あの椅子座らなくていいってこと?
不安でキョロキョロしていると、早乙女先生が言った。
「そんなにあれに座りたかった?」
冗談じゃない、と思い頭をブンブン横に振る。
「嫌です、絶対……!!」
早乙女先生は、笑いながら「わかってるよ」と言う。
緊張しながら診察室に入ると、早乙女先生が笑顔でわたしを出迎えた。
「1ヶ月でここに来るなんてって、思った?」
早乙女先生は、内心をピシャリと言い当てる。
わたしは苦笑いしながら頷いた。
優が予約をしたから、多分だいたいのことは優を通して知っているだろう。
それもあって、恥ずかしくなって俯いた。
早乙女先生は、カルテを広げながら、わたしにいくつか質問を投げかける。
「今回の生理痛はどうだった?」
「……少しだけ」
「薬飲んだら収まったかな?」
「はい」
ペンを走らせながら、早乙女先生は穏やかに質問を続ける。
「ひとりで触ったのは、生理の2日前の夜だね」
「……はい」
「自分でいけた?」
優と同じことをきかれ、おずおずと無言で頷いた。顔が赤くなって、先生の顔を正面から見られない。
そんなわたしを見て、早乙女先生はふっと笑顔を漏らす。
「恥ずかしいかもしれないけれど、とっても大事なことだよ。じゃあ、まずエコーで診てみようか」
「……はい」
ベッドに横になると洋服を捲られる。
早乙女先生は機械にジェルをつけると、お腹の様子を隅々まで診ていく。
前回は、優も春ちゃんもいたけれど、今回は早乙女先生と2人きり。緊張してまばたきを繰り返すと、早乙女先生はわたしに声をかけた。
「大丈夫、リラックスしてくれる?」
深呼吸を何度かすると、エコーが終わった。
何枚か写真を残して、早乙女先生はわたしに、
「もう大丈夫だよ」
と言った。
「血塊、今日はなさそうだから、処置はなし。澤北と井田も来てるんでしょう? わたしから説明するから、ここへ呼ぶね」
処置なし……ってことは、あの椅子座らなくていいってこと?
不安でキョロキョロしていると、早乙女先生が言った。
「そんなにあれに座りたかった?」
冗談じゃない、と思い頭をブンブン横に振る。
「嫌です、絶対……!!」
早乙女先生は、笑いながら「わかってるよ」と言う。