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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第16章 3人の年越し


教師の仕事を始めたら、その忙しさで医者だった頃のことを忘れるようだった。

医師だった2年を軽々越えて、明日もきっと生き続けるだろう子ども達と毎日を過ごす。医師とは違う向き合い方で子どもと対峙する。時々、思春期特有であっても、自分の命を粗末にするような行為を見つけると、本気で叱った。

日々は慌ただしく、色濃く過ぎていく。
咲と暮らし始めてから、教師として子どもと向き合うことと、親として子どもと向き合うこと、更に忙しさを増していった。

働いているもの同士、そして咲を育てるもの同士、優とは対等なパートナーのような関係が築かれた。
3人の居場所。咲の気持ちも安定してきて、のびのびとその芽を伸ばし始めた頃。

教師5年目で、迎えた文化祭。
そこで突然に、優から実家のことが告げられる。

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