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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第18章 揺れる日々

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「……ただいま。咲は、大丈夫だった?」

しんとしたリビングに足を踏み入れると、なんとなく大丈夫ではなかったことがわかる。

優から学校へ連絡があったのは、昼過ぎ。
咲が通院で休む、ということだけを告げる電話だった。体の状態までは聞かずに電話を切り、午後の業務をこなし、定時で上がった。


……予測はしていた。
少し、容態が良くなかったのかもしれない。
なんとなくそんなことを察しながら、急いで家へ帰ってきたのだった。


「おかえり。今は寝てる」

優が本から顔を上げて、咲の部屋を見やる。
カバンを置いてコートを脱ぎながら、そっと尋ねた。心配だった、体のことを。

「……結構、溜まってた?」

「うん……機械を使うくらいには」

優が苦い表情を浮かべて、頷く。

思わず、ため息を漏らした。

すぐに、苦しんでいる咲の姿が脳裏に浮かんだ。


洗われた弁当箱が2つ、キッチンの水切りかごに置いてあったが、昼過ぎから今まで寝ていることを考えると、相当つらい治療だったことがわかる。

寝室を覗くと、咲は微動だにせず深い眠りに落ちていた。音を立てないように、扉を閉める。

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