優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第18章 揺れる日々
5
「……ただいま。咲は、大丈夫だった?」
しんとしたリビングに足を踏み入れると、なんとなく大丈夫ではなかったことがわかる。
優から学校へ連絡があったのは、昼過ぎ。
咲が通院で休む、ということだけを告げる電話だった。体の状態までは聞かずに電話を切り、午後の業務をこなし、定時で上がった。
……予測はしていた。
少し、容態が良くなかったのかもしれない。
なんとなくそんなことを察しながら、急いで家へ帰ってきたのだった。
「おかえり。今は寝てる」
優が本から顔を上げて、咲の部屋を見やる。
カバンを置いてコートを脱ぎながら、そっと尋ねた。心配だった、体のことを。
「……結構、溜まってた?」
「うん……機械を使うくらいには」
優が苦い表情を浮かべて、頷く。
思わず、ため息を漏らした。
すぐに、苦しんでいる咲の姿が脳裏に浮かんだ。
洗われた弁当箱が2つ、キッチンの水切りかごに置いてあったが、昼過ぎから今まで寝ていることを考えると、相当つらい治療だったことがわかる。
寝室を覗くと、咲は微動だにせず深い眠りに落ちていた。音を立てないように、扉を閉める。
「……ただいま。咲は、大丈夫だった?」
しんとしたリビングに足を踏み入れると、なんとなく大丈夫ではなかったことがわかる。
優から学校へ連絡があったのは、昼過ぎ。
咲が通院で休む、ということだけを告げる電話だった。体の状態までは聞かずに電話を切り、午後の業務をこなし、定時で上がった。
……予測はしていた。
少し、容態が良くなかったのかもしれない。
なんとなくそんなことを察しながら、急いで家へ帰ってきたのだった。
「おかえり。今は寝てる」
優が本から顔を上げて、咲の部屋を見やる。
カバンを置いてコートを脱ぎながら、そっと尋ねた。心配だった、体のことを。
「……結構、溜まってた?」
「うん……機械を使うくらいには」
優が苦い表情を浮かべて、頷く。
思わず、ため息を漏らした。
すぐに、苦しんでいる咲の姿が脳裏に浮かんだ。
洗われた弁当箱が2つ、キッチンの水切りかごに置いてあったが、昼過ぎから今まで寝ていることを考えると、相当つらい治療だったことがわかる。
寝室を覗くと、咲は微動だにせず深い眠りに落ちていた。音を立てないように、扉を閉める。