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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第4章 それぞれの午後7時

『もう、子どもが目の前で死んでいく姿を見るのが、耐えられない』

命と向き合う最前線で、俺が挫折したところを、優は『死ぬ前に助ければいい』と軽々越えていって、彼はいま、優秀な小児科医として働いている。

ぐるぐると考えたところで、はっとして首を振る。

何比べてんだ、お門違いだろ。

顔を上げ、自分はいま、医師ではなく教師であることを頭に叩き込む。
俺は、これからのあの子を見てあげないといけない。俺は担任として、必ず生活のそばにいる。これからの措置次第で、あの子の支援に関わっていくのは、俺のすべきこと、できることだ。

前を向かなくては。
今日の対応のことはもう過ぎたこと。
これからのことをしっかり考えていかなくては。

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