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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第19章 エピローグ

***


「咲! いい加減起きろ! 遅刻するぞ!」


まどろみながら、薄目を開ける。
意外と切羽詰まった優の声に、ぼやけた頭で枕元のスマホに手を伸ばす。




8時。




やばい。




バタバタと制服に着替えながら、支度をしてリビングへと急いだ。

「おはよう、ごめん! 寝坊しちゃった!!」

勢いのままに謝りながら食卓につき、ささっと手を合わせると焼きあがったトーストかじる。


「ったく、なんで春斗のときは一発で起きてたんだ」


せかせかと動き、呆れながらお小言を言う優の口角が、少しだけ上がっているのを見た。その顔は、理由がわかっているはずなのだ。

「……だっへ、はふちゃんのほうがこわかっは」

モグモグと高速で口を動かしながら、わたしもにやりと笑う。

今日、優は休み。スウェットのままでスープを盛り付ける優を見て、焦っていた気持ちがおさまった。
わたしはトーストをかじるスピードを落とす。

「……あれ?」

「どうした?」

もどかしそうに温めたスープを食卓に出しながら、優が首を傾げた。その目が、『早く飯を食え』と言っている。



わたしの目は、カレンダーを追う。


日付を確認して、時間を確認して、とうとうトーストを皿に置いた。

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