無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

＊＊＊


｢今までより長くは、九州に戻らないよ｣

春ちゃんが、コーヒーを啜りながら、呟くように言った。つまり、一時帰宅ではなく、以前のように、また3人で暮らすことになるということだ。

今日からまた3人での生活になることに、実感があまりわいてこなくてぼんやりしていると、春ちゃんが笑みをこぼした。

｢……知らせておけばよかったかな？｣

言いつつ、突然の帰宅に後悔はしていない顔をしていた。

｢なんでまた、急に帰ってくることになったんだ？｣

春ちゃんにコーヒーと朝食を出しながら、優が席に着くいた。今回の突拍子もない春ちゃんの行動は、優も想像しなかったらしい。

｢わ！ ありがと、ご飯まだだったんだよね〜！ いただきます｣

春ちゃんの目がキラリと輝いた。
3人で暮らしていたときにはあまり見なかった光景が、新鮮だった。

久しぶりに揃った食卓。
1年も空席だった春ちゃんの席に、春ちゃんがいて、少しだけそわそわしていた。揃ったことが嬉しいのと、『半分は食べなよ』とか『薬があるんだから』とか『行儀悪いよ』とか、様々言われていたことを思い出したからだった。


そっと居住まいを正すと、春ちゃんが話し出した。