優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第19章 エピローグ
***
春ちゃんが帰ってきて、数日後。
わたしは、2人部屋の大きなベッドの真ん中に、横になっていた。
春ちゃんが帰ってきた日は、ここで寝るのを我慢したのだ。
だって、高校生になったし、手紙にもあんなふうに書いたし、帰ってきて早々は、甘えてるみたいで恥ずかしかったから。
でもどっちにしろこうなってしまったのには、理由がある。
……いま、体がものすごく熱い。
「んー……熱上がってきてるなぁ」
優が、わたしの額に手を当てながら呟く。
ひんやりした優の手が、気持ちよかった。
春ちゃんが、困ったように笑いながら、わたしの腋に体温計を挟ませる。
「……サプライズしたからかなぁ」
そんな事ない。言おうとして、声が出なくて、首を振った。
「いや、模試のために春休みから結構遅くまで勉強してたから、無理が祟ったんだろ。朝もなかなか起きられない様子だったし」
それは……! 春ちゃんに言わない約束でしょう!
心の中で絶叫する。けど、あくまで心の中で。
「え? なに、そんなに夜更かししてたの?」
聴こえないフリをするために、目をつむったら、ちょうど体温計の音が鳴った。
無機質な電子音とともに、すぐさま春ちゃんの声が不穏なものになる。
「……38度7分。氷枕替えようか。とりあえず、治ったら説教かな」
怖くて目が開けられないです……。
サッと頭の下から氷枕が抜き取られる。
春ちゃんが帰ってきて、数日後。
わたしは、2人部屋の大きなベッドの真ん中に、横になっていた。
春ちゃんが帰ってきた日は、ここで寝るのを我慢したのだ。
だって、高校生になったし、手紙にもあんなふうに書いたし、帰ってきて早々は、甘えてるみたいで恥ずかしかったから。
でもどっちにしろこうなってしまったのには、理由がある。
……いま、体がものすごく熱い。
「んー……熱上がってきてるなぁ」
優が、わたしの額に手を当てながら呟く。
ひんやりした優の手が、気持ちよかった。
春ちゃんが、困ったように笑いながら、わたしの腋に体温計を挟ませる。
「……サプライズしたからかなぁ」
そんな事ない。言おうとして、声が出なくて、首を振った。
「いや、模試のために春休みから結構遅くまで勉強してたから、無理が祟ったんだろ。朝もなかなか起きられない様子だったし」
それは……! 春ちゃんに言わない約束でしょう!
心の中で絶叫する。けど、あくまで心の中で。
「え? なに、そんなに夜更かししてたの?」
聴こえないフリをするために、目をつむったら、ちょうど体温計の音が鳴った。
無機質な電子音とともに、すぐさま春ちゃんの声が不穏なものになる。
「……38度7分。氷枕替えようか。とりあえず、治ったら説教かな」
怖くて目が開けられないです……。
サッと頭の下から氷枕が抜き取られる。