優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第19章 エピローグ
春ちゃんがリビングへ出ていって、ほっとしたのも束の間。
「ちょっと胸の音聴くよ」
パジャマの裾から、優が手を入れて、聴診器が入ってくる。深呼吸を何度かさせられたが、上手く息ができない。
咳き込むと、ゼロゼロと変な音がした。
「胸、ちょっと苦しいか? 喉みるから口開けて」
開けたと思った口が全然開かなくて、
「もうちょっと。ほら、あーんだよ」
たしか、一昨年の夏もこんな事があった気がする……。
そんなこと思い出していたら、寝室に戻ってきた春ちゃんに、優が言った。
「病院連れていく」
「了解、車出すね」