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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第19章 エピローグ

一昨年と違う点はひとつ。

わたしのかかる科が、小児科から内科になったこと。優の管轄外ではあるが、先生達は知った顔同士らしい。
処置室のベッドでぐったり横になっていると、そのまま診察に来た先生が、優に挨拶をしていた。

「あれ、澤北先生。内科とは珍しい……お疲れ様です」

カーテンの向こう側、穏やかな声が聞こえる。

「お疲れ様。妹が熱出してな……」

「なるほど、妹さんでしたか」

ベッド周りのカーテンを引きながら、優と話していた先生が入ってきた。ぼんやりと目を開ける。
思ったより若くて、顔が整っていて……少し焦る。
薄々気づいていたけれど、この病院の先生方の顔面偏差値は高いようだ。
辞めてしまった春ちゃんだって、冗談っぽく自称イケメンを名乗るけれど、余裕で他称イケメンだったりする。

「こんにちは、初めまして。吹田です。自分の名前言える?」

まともに目が合って、首から下がっている聴診器が気になって……目を瞑る。

「しらかわ……さきです……」

思ったより掠れた声しか出ない。

「うん、白河さん。胸の音聴くね」

吹田先生は頷くと、そっと服の裾から聴診器を滑り込ませる。

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