優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第19章 エピローグ
眠りに落ちる寸前、カーテンの外側で、優と吹田先生が話す声が聞こえた。
「のんちゃんは? 今日も暴れてるか?」
優が、含み笑いをする。吹田先生も、笑いながらそれに応じていた。
「大暴れみたいです。ここまで情報が入ってくるくらいに。でも陽太先生が頑張ってますよ、仲良くしてるみたいで……」
「そっか、良かった……。まぁ、少しーーー…………」
「ふふ……意外です、澤北先ーーー……」
ぽつぽつと続くふたりの会話が、遠くなっていく。点滴が効いてきたみたいだった。
無機質な天井、無機質なカーテンに似合わない、柔らかいふたりの笑い声が、不思議と心地よかった。
吹田先生がかけていってくれた布団が、暑くもなく寒くもなく、体の温度に馴染んでいく。
……ぐっすり眠っていて、気がついたらいつもの風景……2人部屋のベッドにいた。