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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第4章 それぞれの午後7時

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スーパーは、勤める学校から近く、いつも学校帰りに寄って、食材を調達している。
学校付近はこの時間になると静まりかえり、人通りも少なくなる。
校門の前まで来た時に、薄暗い夜道の先で、人の声がした。

「おい!! 目を開けろ、閉じるな!!」

……優の声だ。
普段、あまり張り上げた声を聞かないが、確実にその声は優だった。
一瞬で、弾かれたように駆け足になる。
緊迫したその声に、俺は一気に近づいた。

「優?!」

声をかけるや否や、怒鳴るように俺に言った。

「春斗! AED持ってこい!!」

状況を瞬時に察した。人が倒れている。薄暗くて、最初はよくわからなかった。

制服……うちの学校の子どもだ……。

優は脈を確認しながら、その子に声をかけ続ける。

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