テキストサイズ

優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第4章 それぞれの午後7時

重く長い沈黙が訪れて、耐えかねたように春斗が口を開いた。

「俺……医者辞めたとき、すごくほっとしてたんだ。もう、目の前で痛々しく亡くなっていく子どもを見なくてもいいんだって。でも、どうしても子どもが好きだったから、教師になったけど……」

先を続ける前に、大きく息を吸ったのがわかった。

「今日は……心折れかけた」

春斗は苦しそうな表情を見せながらも、瞳にはしっかりブレない何かを浮かべていた。その目を見て、少し安心する。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ