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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第5章 入院

だって恥ずかしくて痛いんだもん。
涙目になるわたしが思っていることが伝わったのか、先生は手を止めてわたしの顔を見ると、諭すように優しく言った。

「体、良くなりたいだろ? これ頑張らないと、お腹の中におしっこ溜まったままだ。別な病気になる。嫌だろ、お腹に管入れる期間が長くなるなんて」

新たに病気が増えることは嫌だったが、同じくらい、毎朝やる交換も嫌だった。
渋々頷きながら、泣きそうになるのを必死でこらえていた。

「少し頑張ろう。まぁ、そうでなくても頑張らせるがな」

澤北先生がそう言った時だった。

ーーコンコンコンッ

病室のドアがノックされて、誰がやってきた。

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