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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第5章 入院

その甲斐あってか、予定より早いスピードで体は回復していった。
日に日に自力で食べられる量も増える。
看護師さんにつきそってもらって、トイレにも行けるようになって、管を入れていたつらい日々が終わってほっとした。

澤北先生の回診の度に声も出るようになっていった。
ふと気になり、わたしは先生にきいた。

「……わたし、いつまでここにいて大丈夫なんですか?」

できるだけ地獄に帰るのは避けたくて、そんなきき方になってしまった。澤北先生は少し苦笑いを浮べながら言った。

「君の帰る家は、前の家ではなくなるだろう。あそこには危なくて帰せない……残念か?」

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