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Bye-Bye

第2章 衝撃の質問

高校生活も数日たち、少しずつ誠司も周囲とも馴染んできた。出身中学が通学できない遠さで、独り暮らしをしているという特殊なところも、関心を集めやすいようで、中には

「今度遊びに行っていい?」

というクラスメートも出始めた。


後ろの席の翔太ともよく話すようになった。いや、話しかけられる回数が多いのだ。

「前園君は、どの駅から通ってるの?」

「仙波駅。誠司は?」

「花柳駅だよ。」

「ずっりー。急行停まる駅じゃんか!」

花柳駅から駅に向かって2駅先が仙波駅。仙波駅各駅停車しか停まらず急行は通過する。誠司は15分で学校のある関山駅に着くが、翔太は30分かかる。

「そんなこと言われても・・・」

と困る誠司。そこに翔太が、

「じゃあさ、明日から7時45分に駅で待ち合わせして一緒に学校通おうよ」

といった。誠司も、

「前園君が良ければようしようか」

と答えた。気付けば、誠司が一番クラスで親しくしているのは翔太になっていた。


次の日から、駅の改札で待ち合わせ。誠司が先に着き、数分遅れで翔太が着く。

「さっきさ、急行に抜かれるときに誠司見つけたよ!」

「前園君、目がいいね」

お互い友人として仲は深まっていっているが、誠司はまだ「前園君」としか呼べないあたりは、人間関係の奥手ぶりが出ているのだろう。

その日の昼休み。

「誠司、部活決めた?」

「僕、ひとり暮らしだから部活やる時間取れないんだ。前園君は野球続けるの?」

「いや、俺も部活には入らないよ。遊んでたいし(笑)。」


そして、次の瞬間翔太が思いもよらない質問を口にした。


「誠司って、イクときどういう顔をするの?」


「・・・え?」

誠司は思わずきょとんとしてしまった。

「いーじゃん、教えろよー!」

「っていっても、ここでするの?」

「もちろん」

「嫌だよ!みんな見てるかもしれないし、代わりに絵で描くね」

と、誠司は付箋を取り出し自分で想像する自分が射精するときの顔を描いた。もちろん、自分自身でも見たことはないんだから。

「あー、やっぱメガネは外してするんだ」

「・・・つけてるときもあるけどね。でも、なんでいきなりそんな質問したの?」

「なんか気になっただけ(笑)」

そして、2人とも何事もなかったかのように午後の授業を受け、駅で別れた。

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