テキストサイズ

Bye-Bye

第4章 いけない関係

次の日、誠司の使う駅のホームで翔太と待ち合わせた。いつも学校に向かうのとは反対のホームだ。

誠司はまだ行ったことのない方面。

各駅停車が到着し、翔太と合流し、そのあと来た急行に乗る。

数回乗り換えがあったが、土地に詳しい翔太が先導して無事海に近い駅に着いた。

もう昼の時間。

目的の海鮮丼を出す店は昼休みでものすごく混んでいた。

「誠司、少し空くまで浜辺に行こう」

と翔太が言い、誠司はうなづいて付いていった。


海水浴のシーズンにはまだ早い砂浜には誰もいなかった。

防潮堤の斜面に並んで座って、海を眺める。

誠司は翔太の隣に座るとき、少しドキドキしていた。

「きれいだろ?この海。誠司のとこは海近くなかったもんな。」

と翔太が言った、誠司の実家は内陸にあるので海を見る機会はあまりなかった。

「そうだね。特に去年は受験勉強で旅行とかにも行かなかったから、海を見るのも久しぶりだね。ありがとう、前園君。」

と誠司が言った。


少し間を置いて、翔太がさみしそうにつぶやいた。

「いつまでも前園君なんだな・・・」

「だって、いままであんまり名前で呼ぶことってなかったし・・・」

誠司が言うと、翔太は誠司に尋ねた。


「お前、男好きか?」


「え?どういうこと?」


誠司が戸惑うと、

「そのまんまの意味だよ」

と翔太は言った。

「うーん、考えたことなかったけど。なんか、今ドキドキしているんだよね。男が好きかどうかはわからないけど、前・・・翔太君のことは好きなのかもしれないな。」

と誠司は言った。

「俺は、お前が好きだ。変か?」

翔太は単刀直入に聞いた。

「・・・嫌な気持ちは、しないかも。僕も、翔太君のこと、やっぱり好きかも。」

誠司は戸惑いながらも素直な気持ちを言った。


「よっしゃー!言ってよかったぁ!」

翔太がガッツポーズをして喜んだ。

「俺さ、お前みたいなほっとけない感じの男がタイプなんだよね。もちろん、女も好きだけど。今はお前に恋してる。付き合おう。」

誠司は、

「そうだったんだ。僕も女の人に片想いはしたことはあるけど、男の人から好きだ、って言われるのも悪くないね。」

と答えた。

翔太の手が誠司の手に伸びる。

「同性愛だけど、いいのか?」

と誠司が聞くと誠司が答えた。

「翔太君となら、それでもいい。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ