メランコリック・ウォール
第4章 3人での親睦会
「森山さん、ごめんね、付き合ってもらっちゃって…せっかくお酒飲んでゆっくりしてたのに」
「いや、全然。っていうかアキさんが謝る理由ないっす」
森山さんも行くとなると桜子ちゃんが黙っていなかったが、めんどくさくなった私は聞こえないふりをしてどんどん歩いてきてしまった。
彼も黙って私についてきたのだった。
「それより、大丈夫すか?ふらついてません?」
また少し柔らかな表情になった森山さんが言う。
「ん、平気。でもちょっと疲れた…ふぅ」
「アキさんが一番早起きでしょ。そんでずーっと気も使ってるから、そりゃ疲れます」
気を使っていると思わせていたのだろうか、ちょっと自分が情けない。
コンビニでカクテルやチューハイを何本か買うと、黙って森山さんが荷物を持ってくれた。
「あ。ありがとう…」
へらっと笑う彼の髪がなびく。
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「アキさん、顔赤いし…やっぱふらついてます。ちょっと休みましょう」
私が戸惑っている間にも、森山さんはどんどん道を逸れて行く。
小さな公園の木陰にあるベンチに座ると、私を促すように目で合図した。
「でも……」
「大丈夫っす、少しなら。みんな酔ってるし」
朝から忙しかったせいで、疲れていて眠いのも事実だった。
ひとまず森山さんの隣に座り、ふぅ…っと息を吐く。
ゆりちゃんは別としても、あの場にいるのは精神的にも疲れる…。
体は正直で、まぶたが少し重くなった。
風が心地よく肌をかすめる。
森山さんは肩をバシバシと払うと、「良かったらどうぞ」と言った。
「…え?」
「使って下さい、ココ(笑)」
まさか森山さんがそんなことを言うなんて可笑しくて、私は笑ってしまった。
「いいよぉ、そんなこと…ふふっ(笑)」
「なんで笑うんすか?汚れてないっすよ?ほら、ほらキレイっすよ?」
そう言ってまた肩を強く払う森山さんが、なんだか可愛く見えた。