メランコリック・ウォール
第4章 3人での親睦会
「じゃあ、少しだけ…」
お言葉に甘えて彼に寄り掛かることが出来たのは、きっとお酒のせいだと思う。
「遠慮しないで、体重ぜんぶ乗っけちゃってOKす」
「ふふっ…可笑しい」
クスッと2人で笑ったあと、束の間の沈黙…ーーー。
森山さんの肩はずっしりと大きくて、私が少しくらい体重をかけてもビクともしなかった。
「…重いでショ」
「こんなんで重かったら仕事になんないっす」
「ふふっ……こんな事して私、…桜子ちゃんとゆりちゃんに…怒られちゃ…ぅ……ーーーー…」
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本当に眠ってしまったみたいだ。
目を開け、この状況を把握すると飛び上がるように起きた。
「大丈夫っす。まだ10分くらいしか経ってないんで」
森山さんは隣で微笑んでいた。
「あぁ、良かったぁー…ごめん、ほんとうに寝ちゃった」
「俺もちょっとウトウトしてました」
「ごめん、私…図々しく…!」
「いえ(笑)でももう少しだけ、休んでいいすか?」
「うん、もちろん」
森山さんがぽんぽんと自分の肩を叩き、もう一度ここへ…と促された。
それからしばらく、言葉を交わすこともなかったけれど、とても心安らぐ一時だった。
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「少し寝たら、なんだかすっきりしちゃった」
「俺も復活したっす」
夕焼けが真っ赤に染まり、私たちの影を長く伸ばした。
「料理、…ぜんぶうまかったっす。」
本心なのかフォローなのか分からないが、私は純粋に嬉しかった。
「ありがとう。作った甲斐があるよぉ」
「あと、アキさん…」
「んー?」
「前から思ってたけど、なんか勘違いしてるっす。」
「…え?」
「俺、あの事務の子とも親方の孫とも、なんもないっすよ。」
「あっ…私は、えっと…そういう…」
「ぶっちゃけ興味もないっす。」
ばっさり言い切る森山さんに、私はなんとも言えない感情に陥った。
「ごめんね、私てっきり…」
「あの事務の子が好きだと思った?」
「…ちょっと気があるのかなって…」