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「あなたたちはどうなの？自分たちのこと棚に上げて…よくそんな態度でいられるね。」


「なんのことですかぁ？遊びに行ってただけですよ。ねぇ？」


桜子ちゃんに問われ、オサムは気まずそうにうつむいた。


「あの日、部屋から聞こえてきた桜子ちゃんの喘ぎ声は何？どう説明するつもり？」


「気のせいじゃないですかぁ？それに、アキさん言いましたよね。”好きならくれてやる”って」


「…」


「それなら、私たちが何してたって良くないですかあ？」


「…良いよ。どうでも。だけどそれなら、私にも文句つけないでよね？当然よね？」


オサムを見ると、少し焦った様子で頭を掻いた。
何かを言おうとして、やっぱり引っ込め、溜め息をつく。


…


「俺ァ、男だ。女遊びのひとつやふたつで、つべこべ言うな。」


「言わない。勝手にして。」


「………だけど、お前は違うだろうが！」


「…は？」


「嫁がふらふら遊んでちゃ、まわりに面目が立たねえだろう。恥を晒すな…っ！」


なにを言っているのだろう、この人は…。

呆れて物が言えないとはまさにこの事だ。


…


しばらくの沈黙の後で、私は問うた。


「…つまり、…あなたは好き勝手して良くて。私は駄目。そういう事？」


ひとときの間があり、オサムは答えた。

「…そうだ。」


こんなことを堂々と口にする男がいるとは。
しかもそれは、私の夫…。


隣では桜子ちゃんが、嘲笑うようにクスクスと鼻を鳴らす。


何を言ってやれば気が済むだろう。

どうしたらこの男に分からせてやれるだろう。


そのとき、しばらく黙っていたキョウちゃんが強い口調で言う。


「オサムさん。俺はアキさんに惚れてます。罰なら受ける。仕事を失ってもいい。」


「なっ…」


オサムはキョウちゃんを見つめ、言葉を失っている。



「アキさんの事が大切じゃないなら、俺が大切にするんで。オサムさんはその子を大切にしてあげたらどうですか。」