メランコリック・ウォール
第4章 3人での親睦会
「全く無いっす。…そもそも俺、あんまり女の人に興味ないっす」
私はほんの少しだけ胸がチクリと痛むのを押し殺すように言った。
「えっ…じゃあ、ゲイなの…?」
「それは違いますけど(笑)」
「そ、そっかぁ~…なんかごめんね」
「いや、勘違いされてんのもあれなんで一応言っただけで」
…そうだよね。
余計なお節介だ。
いい迷惑だったよね…。
そもそも彼女がいるかもしれないし?思い込みが過ぎた…。
もう誰かとくっつけようとするなんて、やめやめ。
「っていうか森山さんさ」
「はい」
「なんで同い年なのに敬語つかうの?」
「なんでって…馴れ馴れしいかなって」
「そんなこと全然ないよ。むしろ敬語だと壁感じるなぁ…」
「そうすか?」
「…うん(笑)今日まで森山さん、ちょっと近寄りがたかったもん」
「えぇ……じゃあ、敬語やめま…やめる」
「ふふっ…、うん、そうして」
森山さんが女性に興味がないと聞いて、どこかガッカリしたのは事実だった。
こんな不埒な思い、抱いちゃいけない。
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「遅いよぉ~!!」
到着をいち早く察知した桜子ちゃんが嘆く。
森山さんが持っていたコンビニ袋を手渡すと、「わぁ、ありがとう~♪」とゴキゲンだ。
「ありがとなぁアキちゃん。すまん。森山も悪かったな」
親方が謝る中、オサムは労いの一言もなく酒をあおっていた。
「アキさん、大丈夫でしたか?結構飲んでたから…私が行けばよかった」
泣きそうな顔でゆりちゃんは私を座るように促す。
「だいじょぶだよぉ~!全然。それよりゆりちゃんも朝早かったけど平気?」
「私は元気すぎるほどです!このあとどこかで飲みましょうよ~!」
「ゆりちゃんお酒つよいもんねぇ。私大丈夫かな?(笑)でも行こっか、せっかくだし」
「やったぁ!明日お休みだし、パーッと行きましょう。いやなことは忘れて~」
桜子ちゃんに目配せしながらゆりちゃんは喜んだ。