メランコリック・ウォール
第26章 舌と指先
やがて促されてシャワーを浴び、鏡の前に並んでいたオレンジ色の歯ブラシを使う。
「俺も風呂入ってくる」
煙草をもみ消すと、彼は浴室へ消えた。
今夜こそ、キョウちゃんに抱かれるのだろうか。
それとも、また…ーーー。
…
彼が戻ってくると、少しお喋りをしてから手を引かれる。
キョウちゃんの匂いが詰まった布団にもぐりこみ、すぐに彼も隣へ入ってきた。
「明日は、何時まで良いの?」
「んーと…夕方帰れば大丈夫。」
「そっか」
2人で過ごせる時間には限りがあるということを思いだす。
離れたくない…
ずっと、こうしていたい…
彼のシャツを掴み、すり寄った。
ひとつになってしまいそうなほど身体を寄せ合って、全身で”今”を吸収する。
いつまで続くか保証なんてないこの関係。
それでも…私は彼を手放せない。
背中に回された彼の手が、そっと上下に動く。
ブラジャーに沿ってすりすりと撫でられ、くすぐったくって…気持ちが良い…。
ピクリと小さく反応すると、欲しかった彼の舌が私の唇を喰む。
「…ん……」
遠慮がちに灯る間接照明で、彼の髪がさらりと動いたのが分かった。
私の上に四つん這いになってじっくり全身を見つめられ、その視線に深部が疼く。
ゆっくりと、キャミソールの肩紐を落とされる…ーーー
疼きと期待で、いつもより肌が敏感になってつらい。
キョウちゃんの指先が少しかすっただけなのに、反応が止まらない。
「ぁ…んっ……ー」
私の反応をじっくり堪能するように、彼の指先がツーーと乳房の丘を登った。
「ひゃぁっ…んっ」
先端にたどり着くと身体は一瞬のけぞり、秘部からとろりと滴るものを感じる。
キャミソールの上から乳房をくるくると円を描くように撫でられ、ときどき先端を弄んだ。
「ぁあっ…ん、んんっ…ー」