メランコリック・ウォール
第39章 決断
「今年はお正月休みが長くて嬉しいです♪」
神社の参道を歩きながら、ゆりちゃんが言った。
「ふふ、そうだね。土日があって良かった!」
今年の仕事初めは1月8日だ。
キョウちゃんと九州で年を越した。
彼は仕事が始まる8日に親方に話を持ち掛けるつもりだと言い、とにかくあと数日はゆっくり休み、いつもどおりに過ごそうということになった。
私は昨日九州から帰ってくるとすぐにゆりちゃんに連絡を入れ、今日に至る。
「それでアキさん!九州はどうでした?」
「すっごく良いところだったぁ…。海の近くでね、お魚も美味しいし。」
「へぇ~~!いいなぁ!」
「ゆりちゃんはどうしてた?」
「私はひたすら海外ドラマを見まくってましたよ!あははっ」
「そっかぁ!トモキくんとは…?」
「大晦日に少しだけ会って。あと、3日の日にも。渋滞がすごくって(笑)」
「遠くまで行ったの?」
「2つ隣の町まで、初詣に…ーー」
おしゃべりをしながら歩き進めると、立派な拝殿が見えてきた。
「さすがに6日の午後は空いてますね♪」
「うん!ごめんね、今年は遅くって…露店も出てないし。」
「良いんですよ、全然!でも、今日はたくさん話聞かせてくださいよう?ふふっ」
私たちは駅前まで出向き、居酒屋へ入った。
さすがは正月休み中ということもあり、店内はワイワイと賑わっている。
カウンターの隅に肩を並べると、さっそくビールやおつまみをいくつか注文した。
…
「それでね。ゆりちゃんには話しておきたいと思って…」
「はい。なんでしょう?」
私は酔っ払ってしまう前にと、ビールを一口だけ飲むとすぐに切り出した。
「…キョウちゃんとの事、もっと話が進展しそうなの。私たちの関係を親方に告白して、…」
「えぇっ?!」
話の途中でゆりちゃんは驚きの声を上げた。
「ど…どうして親方に?」